ズウォレ中山雄太は、移籍して3カ月で着実にチームに溶け込んでいる (2ページ目)

  • 中田徹●取材・文 text by Nakata Toru
  • photo by AFLO

「本当に最高の瞬間。いいものだなと思いました」

 オランダ語には「庶民のお気に入り」という表現(慣用句)がある。ズウォレに新たな庶民のお気に入りが誕生した瞬間だった。

 ピッチに入る前、中山はスタム監督から「守備のところは強くいけ」と指示を受けたのだという。「点差もあったので、失点を絶対にやってはいけないと思っていました」と振り返る中山は、「絶対にやってはいけない」という言葉に力を込めた。

 しかし、相手の攻撃をせき止めるという意味では、オランダリーグのデビューマッチとなった2節前のエメン戦のほうが強度の高い守備を見せていたのではないだろうか。

 あの時はわずか8分間の出場ながら、スコアがまだ2-0(最終スコアは3-0)だったということもあって、エメンもズウォレのゴール前にどんどんボールを運んできた。だから、中山はボールをつなぐことより、とにかくボールを跳ね返すことに専念していた。

「出場時間が前回(エメン戦)より増え、自分にとってはすごくよかった」

 フォルトゥナ戦後に中山は喜びつつも、「(相手FWとぶつかり合う)シーンがあまりなかった。点差もあったし、相手の勢いも落ちていた状況だったので、今日の試合を基準にするのではなく、次に向けてしっかり準備したい」と冷静に振り返る。

 試合に出るためにオランダで取り組んできたことは、コミュニケーションだという。具体例として中山が挙げたのは、自分より前にいる選手に対して指示することだった。

「後ろで使われることが多いので、やっぱり前の選手と話さないといけません。監督からも『プレーを指示しないといけない。そのためのコミュニケーションをたくさん取らないといけない』と言われています」

 1月15日の入団会見の時、中山は「僕のことをズウォレはCBとして見ているが、僕はボランチでプレーしたい」と語っていた。そしてフォルトゥナ戦後も、中山はあらためてボランチへの思いを口にした。

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