CL3連覇の主役たちは劣化していた!レアル敗退には歴史的意義がある (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 名門ながら、もはやビッグクラブではなくなっていたアヤックスが、優秀な若手選手をかき集め、伝統の3-4-3をベースにした超攻撃的サッカーで欧州一の座に就く姿はエンタメ性満点。極上の痛快劇だった。

 そんなエピソードを持つアヤックスに、レアル・マドリードは敗れた。エルンスト・バルベルデ監督率いる現在のバルセロナよりバルサ的と言いたくなる、アヤックスの伝統的な匂いがするサッカーに敗れた。意義深さを覚えずにはいられない。

 レアルが日程に不運を抱えていたことは確かだった。中2日でカップ戦のクラシコと、リーグ戦のクラシコを戦い、さらに中2日でこの日を迎えていた。バルサと戦った2試合は0-3、0-1と2連敗。リーグ戦のマドリードダービーでアトレティコ・マドリードに勝利を収め、2位まで順位を回復させていたレアル・マドリードだったが、この敗戦で国内リーグ優勝の可能性は完全に潰(つい)えた。残るはCLのみになっていた。

 サンティアゴ・ソラーリ監督は追い詰められていた。しかし、この2連敗は、しょせん国内リーグや国内のカップ戦の出来事だった。重要度という点でCLに大きく劣る試合だった。国内リーグ優勝とCL優勝。サッカー史に名を刻むのはCLを制したチームである。その割り切りがあれば、いくらメディアが騒ごうと、2連敗に大きな意味はなかった。

 とはいえ、CLのアヤックス戦は、半分以上、勝利が見えた状態にあった。好チームながら格下のアヤックスに、第1戦のアウェーで1-2の勝利を飾っている。レアル・マドリードが8割の力で臨んでもしのぎきれる差が、両者の間にはあった。

 だが、力を入れたクラシコで2連敗したことで、レアル・マドリードは焦っていた。しかも中2日だ。ショックを引きずったままアヤックス戦に臨むことになった。結果、楽な戦いだと思っていたアヤックス戦が、そうは見えなくなってしまった。

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