乾貴士がリーガ100試合出場。偉業達成も「試合前のほうがうれしかった」

  • 山本孔一●文 text by Yamamoto Koichi photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

「試合前のほうがうれしかったですね。試合やって終わってみると、勝てなかったっていうのもあるし、点も取れなかったというのもあるので。悔しい思いがあるので、100試合の達成感はあまりないっすね」

 0対0の引き分けに終わったアラベス対セルタ戦。試合後の乾貴士は、日本人初のリーガ・エスパニョーラ100試合出場を喜ぶより、この試合に勝てなかったことへの悔しさをにじませていた。

セルタ戦でリーガ・エスパニョーラ通算100試合出場を果たした乾貴士セルタ戦でリーガ・エスパニョーラ通算100試合出場を果たした乾貴士

 この日の乾は右サイドでプレーを初めたが、前半の途中から左サイドに移り、ドリブルから中へ切り込んでシュートを打つなど、積極的な姿勢を見せていた。もっとも悔やんだであろうプレーが、後半最初のチャンスだ。49分、ジョニーの上げたクロスをダイレクトで合わせにいった背番号11だが、ミートすることができずに、ボールは右サイドに流れていった。

 このプレー以外にも、積極的にエリア内に顔を出すプレーを見せた乾だが、あと一歩を詰めきれない。ワンプレー、ワンプレーはアベラルド・フェルナンデス監督が試合後の記者会見で称賛したように、高い技術を見せていた。本拠地メンディソロサに集ったアラベスサポーターからも歓声を引き起こしたが、肝心の勝利を引き寄せるゴールを生み出すことはできなかった。

 今季は下位に沈んでいるセルタだが、2年前の2016‐17シーズンは、そのシーズンのヨーロッパリーグ優勝を手にしたマンチェスター・ユナイテッドを、準決勝で最後の最後まで苦しめ(2戦合計1対2で敗戦)、イアゴ・アスパスや若手のホープ、ブライス・メンデスなどをスペイン代表に送り出しているチームだ。

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