恩讐を越えて。スペイン代表モラタが古巣・アトレティコを選んだ理由 (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by Getty Images

 その後、モラタは同じマドリードのヘタフェで1年を過ごしたあと、レアル・マドリードのユースに所属している。そこからは、「ラウル2世」(ラウルも15歳でアトレティコからレアル・マドリードに移籍した。ただし彼の場合は、当時アトレティコのユースが財政上の理由で一時的に廃止されてしまったのが理由だった)と呼ばれるなど、目覚ましい成長を遂げた。本人もラウルに憧れ、部屋にはポスターを貼っていたという。

 モラタは自分を選ばなかったアトレティコに対し、強烈な反骨心を示した。選んでもらえなかった憎しみを、得点に叩き付けるような激しさがあった。カスティージャ(レアル・マドリードのBチーム)では、アトレティコと熾烈なダービーマッチを戦い、得点を決めたときには、レアル・マドリードの紋章を鷲づかみにして、スタンドに向かって勝ち誇って見せた。昨シーズンのチャンピオンズリーグ、チェルシーでアトレティコを相手に得点したときも、同じようなパフォーマンスをしている。

「過去は過去」

 モラタは軽く受け流している。怒りと憎しみは、アトレティコを心から愛していたが故だったのか。

「自分はアトレティコでサッカーを始めている。僕がどこから来たのか、人々は知っているだろう。それ(アトレティコで育ったこと)が自分にとって、どんな意味を持つか、もね」

 背番号は22。最短では2月3日のベティス戦が、モラタのアトレティコ・デビューとなるという。

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る