存在感を発揮し始めた宇佐美貴史。「日本代表を見ている余裕はない」 (2ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko photo by Getty Images

 アウフスブルク戦でも先発出場を果たし、68分に同じポジションの争うベニト・ラマンと交代している。そのラマンが得点をあげているのは気にならないではないが、宇佐美はこれで第14節から連続で先発。昨年夏はW杯に出場したことと、移籍問題もあって合流が遅れたが、これでようやくスタートラインに立ったということだ。

 アウフスブルク戦では、45分に前線へのスルーパスを通し、先制点の起点になっている。積極的に味方に絡み、プレーに関与しているところが連続先発の理由かもしれない。第15節、第16節と、連続してアシストも決めており、味方を使う仕事をすることで信頼関係を構築できているのだろう。

 個人的な技術やシュート力については、昨季の同僚だった原口元気は「天性のもの」と認めている。一方で、守備における献身性や味方との調和性に欠けるところがあり、「そのあたりがついてきたら無敵なんだけど......」とも話していた。

 アウフスブルク戦でも後半に入るとファウルで警告を受け、さらにこのプレーによって与えたフリーキックから、チームは失点してしまう。交代したのはこの失点の5分後のことだった。軽率なプレーもまだ見られ、信頼をより厚いものにするために、改善すべき点はまだ多い。

 アジアカップを戦う日本代表に選ばれなかった宇佐美は、「代表は常に意識しているけれど、(今の自分は)そこを見ている余裕はない」と、まずはクラブでの戦いにフォーカスしている。現在の日本代表を脅かす存在になるためにも、フォルトゥナでのさらなる成長が求められるのは確かだ。

 次節、14位のデュッセルドルフはホームに4位ライプツィヒを迎える。

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