ラウンド16へ突入するCL。グループステージを4名の達人が総括した (2ページ目)

中山 はい。少し話がそれてしまいますが、ちょうどこの話が出る前に、ヨーロッパサッカー界で再びビッグクラブによる"スーパーリーグ構想"が話題になりました。人気チームだけでCLのプレミア化を進めればより収益が上がるのは間違いないので、ビッグクラブとしては現在のCLに不満があるわけです。とはいえ、UEFAとしては彼らが出て行ってしまえばCLが成立しなくなってしまう。そこでECA(ヨーロッパクラブ協会)とUEFAが話し合いをして、小さなクラブには新大会によって利益分配を図り、逆にCLは今以上にスーパーリーグ化させることで妥協点を見出したと思われます。

 ですから、今後のCLはビッグクラブが勝ち抜けやすく、より波乱が起こりにくい大会になっていくのではないでしょうか。ジャイアントキリングもサッカーの楽しみのひとつなので、少し寂しい気もしますが。

倉敷 なるほど、今シーズンの傾向がより強まる可能性が高そうですね。亘さんは、どんな印象をお持ちですか。

 小さなクラブがビッグクラブを倒すというジャイアントキリングを期待していた人も多いと思いますが、結果的に順当な結果になってしまいましたね。そうなった原因のひとつとして、僕はロシアW杯で見たような南米で言う"ドン引き"、つまり、リトリートする守備を各国が見せていたように、今回のチャンピオンズリーグでも同じような傾向があったことも影響しているのではないかと感じています。

 要するに、ビッグクラブが先制した後に堅い守備を敷くようになって、1点を奪ったらサッカーを変えて我慢する、というようなチームが増えているように感じます。以前のバルセロナみたいに、どんどんゴールを取りに行くスタイルのチームが減り、お金もかけて良い選手を集めているチームが、しっかり引いて守るということをやり始めている。そういう点で、小さなクラブがジャイアントキリングを起こすのが難しくなっていると感じたグループステージでした。

倉敷 では、AからHまでの各グループを順に振り返ります。まずグループAから。このグループはドルトムント、アトレティコ・マドリード、クラブ・ブルージュ、それからモナコという4チームの戦いでした。最終的に、ドルトムントが1位抜け、2位通過がアトレティコでしたが、中山さんはこのグループの明暗を分けたポイントがどこにあったと見ていますか?

中山 このグループでポイントになったことのひとつとして、最下位モナコの大不振を見逃すことはできません。完全にこのグループの草狩場になってしまいましたね。今シーズンのモナコは、メンバーが大幅に入れ替わったことは例年のことですが、とにかく故障者が続出してベストメンバーが組めないままシーズンの半分を終えてしまいました。そのうえ、功績者のレオナルド・ジャルディム監督の解任と、ティエリ・アンリ新監督の就任という大きな出来事もありました。

 主力が揃わないうえに監督未経験だったアンリが指揮を執ったため、ますますチームは混乱してしまい、CLを捨てて、降格圏に苦しむ国内リーグ戦に重きを置くしかなかった状態だったので、他の3チームにとっては楽な相手になったことは間違いないでしょう。

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