CLの常連・シャフタールのオーナーは、トランプともプーチンとも縁がある (4ページ目)

  • ジェームス・モンタギュー●取材・文 text by James Montague 井川洋一●訳 translation by Yoichi Igawa

「ユーロマイダン」と呼ばれる民衆蜂起によってヤヌコビッチは失脚し、彼が実権を握っていた際に手にした多くの財産が白日のもとに晒されている。その中には、金のゴルフクラブやプライベートな動物園などが含まれていた。

 ヤヌコビッチはロシアへ飛び、今もプーチンの保護下に置かれている。のちにロシアはウクライナに侵攻し、クリミアを併合。この紛争により、ウクライナ東部では数千人の死者が出ている。

 一方、アフメトフはウクライナにとどまっているが、キエフに住む多くの人々は、ヤヌコビッチを支援した彼を憎んでいる。またクリミア紛争の際には、親ロシア派を資金援助したとも言われている(本人は強く否定)。

 その紛争では、アフメトフが所有するシャフタールの本拠地ドンバス・アリーナも砲撃に遭った。そのため、シャフタールは現在もドネツクではなくキエフでホームゲームを戦っている。また、アフメトフが保持していた鉱山や会社は国営化され、一時期は310億ドルと言われていた彼の資産は現在、55億ドルへと大幅に減少した。

「アフメトフはフットボールを心から愛している。(シャフタールへの投資は)同地域の人々の共感を生み出そうとしたものだ。自分がいかに地元のことを配慮しているかを証明しようとしてね」

 イギリス王立国際問題研究所でロシアとウクライナについて研究するオリシア・ルチェビチはそう話した。

 アフメトフは今も健在で、シャフタールも厳しい状況で好成績を挙げ、昨季のチャンピオンズリーグでは決勝トーナメントに進出した。しかし紛争は今でも続いており、アフメトフにそれを阻止する力はない。一時期に比べると、彼の権力も富も大きく目減りした。

 前述のルチェビチは次のように締めくくった。

「キエフでは、彼は裁きを受けるべきと思われている。ヤヌコビッチを獰猛な政治屋に仕立て上げた罪は、どれほど大きなものになるだろうか」

(つづく)

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