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大混戦のCLグループC。勝ち上がるのはナポリかリバプールかPSGか? (2ページ目)

  • photo by Getty Images

中山 現在のパリでポイントになっているのは、ロラン・ブラン時代から続いた「プティ・バルサ(小さなバルセロナ)」と言われたポゼッション一辺倒のサッカーではなくなったことだと思います。試合ごとに戦い方を変え、最近は試合中もスムースにシステム変更ができるようになっていて、前任者ウナイ・エメリができなかったブラン時代からの脱皮がようやく果たされた印象を受けます。

 件のリバプール戦は4-4-2でスタートし、2-1とリードして迎えた試合終盤でアドリアン・ラビオを投入した後にネイマールを1トップにした5-4-1に変更して守り切りました。ポゼッションで相手より下回ることがほとんどなかったパリが、この試合ではボールを保持することにこだわらず、割り切って守備を固めてカウンターを狙うという新しい戦い方を見せたことに、チームとしての進化を感じます。

小澤 3バックと4バックを併用しているから、リバプール戦でもビルドアップ時にボランチに入ったマルキーニョスがスムースにセンターバックの間に落ちて、相手のプレッシングをかわすことができていましたね。試合のなかで、相手を見ながら、特に相手のプレスの枚数を見ながら、きちんとそれに適応させているところを見ても、トゥヘル監督らしいサッカーだと感じました。

倉敷 中山さんはウナイ・エメリとトゥヘルの違いはどこだとお考えですか? 2人ともアイデアがとても豊富で、たくさんのことを教えたがる監督です。その部分では共通していながらパリはなぜこれほど変わったのでしょうか。

中山 おそらくアプローチの相違でしょう。トゥヘルがこうもうまくチームを変えられた最大の理由は、エメリの失敗を反面教師にして同じ轍を踏まないよう、すごく慎重に事を運ぶことができたからだと思います。

 エメリは就任早々からシステムを4-2-3-1に変え、しかも自分のお気に入りの選手を引っ張ってくるというドラスティックなやり方をしました。ところが主力選手たちにそれを受け入れてもらえず、結局は選手の意見を受け入れてブラン時代の4-3-3に戻すことを強いられたという経緯があります。

 その情報をわかっていたトゥヘルは、就任が発表された直後にまず最大のキーマンであるネイマールと会談を持ち、戦い方としても主力不在のプレシーズンで3バックを試しつつ、主力が合流したシーズン直後は4-3-3で戦いました。実際、チャンピオンズリーグ初戦のリバプール戦も4-3-3を採用しましたが、そこで負けたことをきっかけにリーグ戦で3バックをテストしたり、エメリが失敗した4-2-3-1も使ってみたりと、すごくなだらかに4-3-3からの決別を実現しました。ドルトムント時代のような徹底管理もしながら、その一方で積極的に選手とのコミュニケーションもとっていて、選手からの信頼も厚いようです。そういったことが、エメリとの違いになっているのだと思います。

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