アーセナル、宿敵を撃破。停滞感を払拭したエメリ監督の改革

  • 田嶋コウスケ●取材・文 text by Tajima Kosuke
  • photo by AFLO

 ここまでエミレーツ・スタジアムが熱気に満ちたのは、いつ以来だろうか――。

 12月2日に行なわれたトッテナム・ホットスパーとの「ノースロンドン・ダービー」を、アーセナルは4-2で制した。トッテナムに一度は逆転されながらも同点に追いつき、さらに宿敵を突き放したスリリングな試合展開に、アーセナルサポーターは大いに沸いた。そして、チームが見せたパフォーマンスと勝利への執念に、心を極限まで高まらせたのだ。

険しい表情で選手に指示を出すウナイ・エメリ監督険しい表情で選手に指示を出すウナイ・エメリ監督 振り返れば、昨シーズンかぎりで終焉したアーセン・ベンゲルの長期政権では、直近8試合のダービー成績を見ると1勝3敗4分と負け越していた。国内リーグの順位表でもトッテナムの後塵を拝し、それまで「アーセナル優位」だった北ロンドンの勢力図は大きく変わろうとしていた。

 そんななか、今年5月にアーセナルの政権が交代した。当時68歳のベンゲル監督が去り、代わりにやって来たのが47歳のウナイ・エメリ。停滞感が漂っていたアーセナルを、スペイン人の新指揮官はゆっくりとだが着実に変革していった。

 その成果が公式戦19戦無敗という、ここまでの成績だ。開幕直後はマンチェスター・シティ戦とチェルシー戦の連敗でつまずいたが、その後は軌道修正。19戦無敗のなかには、82分の土壇場で1-1の同点に追いつき、「ベンゲル政権なら確実に落としていた」(BBC放送)と粘り強さが評価された第11節・リバプール戦も含まれている。

 22年続いたベンゲル政権が終焉し、アーセナルのサポーターたちはチームの移行期間に相応の時間を要すると覚悟を決めていたが、エメリは予想を上回るペースでチームを軌道に乗せてきた。

 そして、昨季3位の宿敵トッテナムを撃破――。「アーセナルのほうがずっといい出来だった。勝利にふさわしい」と元イングランド代表FWアラン・シアラー氏が褒めれば、BBC放送も「エメリの改革は順調に進んでいる」と伝え、エメリ政権にポジティブな風が吹いていることを証明した。

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