2018.11.22

どん底からV字回復。オランダを
蘇らせた「クーマンの秘蔵っ子たち」

  • 中田徹●取材・文 text by Nakata Toru
  • photo by Getty Images

 敵地ゲルゼンキルヘンで、ゲルマン魂がオランダに憑依した――。

 11月19日のUEFAネーションズリーグ・グループリーグA最終戦、オランダはドイツ相手に開始20分で2点を許す苦しいスタートとなった。さらに、その後も幾度となくドイツにビッグチャンスを作られ、完敗間違いなしの試合内容だった。

ドイツ戦で同点ゴールを決めて雄叫びをあげるフィルジル・ファン・ダイク(右) だが、85分のクインシー・プロメス(セビージャ)のミドルシュートで1点を返して息を吹き返すと、後半アディショナルタイムに入った瞬間、センターバックのフィルジル・ファン・ダイク(リバプール)のボレーシュートが決まり、2-2の引き分けに持ち込んだ。

 この勝ち点1は大きかった。オランダは2014年W杯優勝国のドイツと、2018年W杯優勝国のフランスを出し抜いてグループリーグ首位通過を決定し、6月にポルトガルで行なわれる「ファイナル・フォー(出場国はオランダ、スイス、ポルトガル、イングランド)」に出場することになったのだ。試合後、ロナルド・クーマン監督は「最後に勝つのがドイツ。だが、今回は我々が最後にゴールを奪ってみせた」と満面の笑みだった。

 3日前の16日にロッテルダムで行なわれたフランス戦では、12本もの枠内シュートを放って2-0で完勝し、攻撃サッカー復活を世界に知らしめた。だが、ドイツ戦は中2日(ドイツは中3日で、15日の試合はロシア相手の親善試合だった)というハンデ戦だったこともあり、プレスは効果的にかからず、ボールもロストしてばかり。開始20分で2失点し、その後もピンチに見舞われ続けた。

 しかし、今のオランダ代表はチームスピリッツがすさまじい。クーマン監督からハーフタイムに「1点を返せば同点に追いつけるぞ!」と檄を飛ばされたイレブンは、プロメスのゴールで監督の言葉を現実のものにしようと息を吹き返し、最後はパワープレーから起死回生の同点ゴールを奪ってしまったのだ。