2018.11.12

バルサに歴史的勝利も乾貴士は
浮かぬ顔。「チームに迷惑をかけた」

  • 山本孔一●文 text by Yamamoto Koichi 中島大介●撮影photo by Nakashima Daisuke

「面白い試合だったんじゃないですかね」

 そう語る乾貴士の顔には、思っていたとおり、笑顔はなかった。

 リーガ・エスパニョーラ第12節。カンプノウでベティスがバルセロナ相手に3-4で勝利を飾った後、ミックスゾーンで取材に応対した乾の表情は厳しいものだった。

 乾にとってはバルセロナからの初めての勝利である。エイバル時代の2年前の対決では、自身の2得点によってあと一歩のところまで追い詰めたが、勝利の二文字が手元からこぼれ落ちる悔しい経験をした。そのときはバルセロナの強さ、とくにリオネル・メッシの異次元といっても過言ではない高い能力に、乾は素直に脱帽していた。

「カンプノウで4点を決めて勝利したことは記憶に残るもの。宝となる結果だ」と、キケ・セティエン監督が喜んだように、多くのベティスサポーターにとっては誇りとなる勝利だった。だが、ここ最近、試合出場の時間が少なくなっている乾が素直に勝利を喜ぶには、自身の結果という要素が欠けていた。

3-4で勝利したバルセロナ戦に、86分から出場した乾貴士(ベティス) この試合の86分、乾はジオバニ・ロ・チェルソに代わってピッチに入った。第9節のバジャドリード戦以来となる4試合ぶりの出場だったが、出場時間はアディショナルタイムの4分を含めても10分たらず。さすがにこれでは監督、そして自身を満足させるパフォーマンスを見せることは難しかった。

 しかも自分の”色”を残したいという、焦りにも似た気持ちがあるときは、いいパフォーマンスをすることは難しい。