岡崎慎司もオーナーを追悼。「同じアジア人として尊敬できた」 (2ページ目)

  • 田嶋コウスケ●取材・文 text by Tajima Kosuke
  • photo by Getty Images

 加えて、母国タイでのサッカー発展に尽力し、タイの少年たちを積極的にレスターへ招待していた。「尊敬していた人」だからこそ、岡崎も肩を落とす。

「普通だったら、(英国で)アジア人がこれだけ愛されることってないと思う。ひとりのアジア人として、僕もすごく尊敬できるし、クラブのオーナーとして、今まで会ったことがないぐらいの人間力を持った人だった。いろいろなところに貢献して、市民にも愛された。また、タイの若い選手を含めて選手を育てることにもチャレンジしていた。すごいなと。

 こういうことが起きてしまい、愛されていたことが(世に)出ている。ただ、今回のことがあって、亡くなってから(世に)出るというのは複雑です。亡くなってしまったので、やっぱりつらいというか。もういなくなってしまったので。

 でも、本当に愛された人。そして、自分としても忘れられない人です。そういう人が築いたものだからこそ、崩したくない気持ちがある。アジアのつながりとか、将来的に自分が何かできることがあれば、手助けできたらなと思っています。それだけ尊敬に値する人だった」

 また、同じアジア人として、ヴィチャイ・オーナーは日本人の岡崎のことを気にかけていたという。2015年に岡崎がレスターへ移籍した時も、オーナーが関わっていたと明かす。

「もちろん、スカウト(の推薦)込みで移籍が決まりましたけど、(ヴィチャイ・オーナーが)自分をレスターに呼んでくれたので。そして、アジア人ということで、常に声をかけてくれた。『日本食がほしかったら、いつでも言ってくれ』って言ってくれたり、オーナーがロンドンに住んでいるので、ロンドンのおいしい店を紹介してもらったり。

 オーナーって、けっこうチームに介入する人が多いと思う。もちろん、ヴィチャイさんもそうだけど、介入の仕方があったかく見守るというか。チームが降格の危機になれば、『わかっているな?』っていう感じにはなります。でも、それだけ愛情をチームに注いでくれていることは、みんなわかっていたので」

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