柴崎岳、乾貴士の苦しい現状。またも「日本人対決」は実現せず (3ページ目)

  • 山本孔一●文 text by Yamamoto Koichi photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

「後ろの選手はともかく、監督の考えのなかに自分が入っていなかったんだと思う。信頼をもう一度勝ち取りたい」

 試合出場はなかったにもかかわらず、乾は試合後、ミックスゾーンで記者に応対し、監督の信頼を取り戻すことを目標として語った。

 とはいえ、そのミッションを達成するのも簡単なことではない。なぜならライバルは1人ではないからだ。自由にポジションチェンジができる現在のベティスのシステムからすれば、この日は欠場したホアキン・サンチェスや途中出場したテージョ、カナレス、さらにはFWの面々も含めて、攻撃の選手全員がライバルなのである。

「苦しい状況なので、そのなかでお互いに頑張ろう、と。まあやるしかないので頑張っていきたい」

 乾は試合前の柴崎との会話について、そう話してくれた。

 序盤に比べて苦しい状況にある乾だが、エイバルのときも、1年目はチームのコンセプト、とくに守備戦術の理解度の低さからベンチを温めていた。だが、3年目には不動のレギュラーの位置を手にしている。まずは柴崎同様、国王杯の戦いが大事になってくる。

 今週の国王杯ベスト32の対戦は、スペイン国内でもリーガや欧州カップ戦に比べて関心が低い。だが、2人の日本人選手にとっては、勝つだけではなく、監督へのアピールとなるプレーを見せなければいけない、今後のシーズンをかけた大事な戦いとなる。

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