プレミアリーグがあるからこそ存在する、イングランド代表の課題とは (6ページ目)
倉敷 イングランドの弱点は、A代表ではフィジカル担当の選手が多くプレーしているけれども、プレミアリーグのゲームメーカーは他の国の選手に依存しているので、その部分がイングランド代表からは抜け落ちてしまうということにあります。
一方で、中山さんが指摘されたように、下のカテゴリーにはそういう選手がいるけれども、プレミアリーグでは外国人選手との競争に勝てなければ出場機会を失い、結局A代表の駒は欠けたままになってしまう。小澤さん、育成を考えるうえで、どのようなマネジメントをすることが必要なのでしょうか?
小澤 そこについては、僕自身は楽観視しています。プレミアリーグは予算もあるので、とにかく世界中からスター選手をかき集めて世界一のリーグになったことで強化されていたと思いますが、FAもプレミアリーグも、それだけではイングランド代表が強化できないという意見で一致して、実際に育成をセットにした中で代表チームの強化をしていますし、それによってアンダー世代の代表も世界大会で結果を出すようになり、優秀な若手選手もたくさん出てきています。
今回は若いチームでベスト4まで勝ち上がったわけですし、ラヒーム・スターリングやデレ・アリなど、現在所属クラブで世界トップレベルの監督の指導を受けて、技術的にも戦術敵にもレベルを上げている選手たちもいます。
たしかに、ゲームメーカーでいうと、中盤で機転を利かせてボールを配球できる選手がいませんでしたけど、そういうタレントもすぐに出てくると思いますし、今後、イングランド代表にもそういう選手がたくさん出てきそうな予感がします。今後はイングランドがサッカーの母国、サッカー大国として復権して、世界にその育成モデルを示してくれるのではないかと期待しています。
倉敷 今回のロシア大会は、イングランドにとっても、これからどの方向に進んでいくべきかということがはっきりした大会だったと思います。とくに、今後もVARが進化していくとしたら、セットプレーで有利なイングランドは、それを磨いたうえで何を足していけばいいのかということを、考えやすくなっているかもしれません。
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