2018.07.15

ポスト「メッシ・ロナウド」はいたか。
W杯を彩った若きホープたち

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki 佐野美樹●写真 photo by Sano Miki

 もうひとりのロサーノも、次世代のサイドアタッカーとして輝きを放っている。ハイライトはグループリーグ初戦のドイツ戦だろうか。ペナルティエリアでボールを受けると、鋭い切り返しで食いついてきたディフェンダーを難なく置き去りにし、名手マヌエル・ノイアーの牙城を崩している。

 ロサーノは昨シーズン、オランダリーグのPSVアイントホーフェンに移籍して、1年目でいきなり17得点の大暴れ。サイドから鮮烈に切り込み、右足でコントロールショットを決めている。マルク・オーフェルマルスやアリエン・ロッベンなど、偉大なサイドアタッカーを生み出してきたオランダで、ポテンシャルが開花した。独特の得点感覚があるだけでなく、ウィング的にタッチラインで幅と深みをつくり出せる。バルサやバイエルンのような攻撃を好むクラブが注目し始めた逸材である。

 しかし、今大会最高のルーキーといえば、フランスのFWキリアン・ムバッペ(19歳)だろう。

「立ち上がり、自分たちはムバッペのスピードに対し、あまりに慎重になりすぎた」

 準決勝後、ベルギーのGKティボー・クルトワは振り返っているが、試合で手合わせした選手たちが抱いた畏怖の念は相当なものなのだろう。

 決勝トーナメント1回戦のアルゼンチン戦では、場数を踏んできた敵のディフェンダーたちも、対応に四苦八苦していた。捕まえた、そう思った瞬間に速度が上がる。なおかつ、ボールコントロールも乱れないのだ。

 ゴールに向かったビジョンの明晰さも、ムバッペの特長だろう。ベルギー戦では、ゴールに背を受けたボールを、一度止めてから、すかさずヒールを使って後方にいたオリビエ・ジルーにパスしている。「背中に目がついた」という表現は言い古されているが、速さオンリーのアタッカーではない。