大味なサッカーで逆転負けも、イングランドの未来はすごく明るい

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

 サッカーの母国の名誉のためにも、あくまでも「この試合に関していえば」と注釈をつけさせてもらうが、イングランドのサッカーは「面白い」とはいえないものだった。

"今どきの流行"を取り入れようとはしている。だが、そもそもの"古臭さ"は隠し切れない。クリアにすら見えるロングボールを、相手DFラインの背後に向かって躊躇なく蹴り込むサッカーは、シンプルというより大味だった。

 自国開催だった1966年大会以来のワールドカップ優勝に近づいていたイングランドは、しかし、準決勝でクロアチアに1-2で敗れた。前半5分にして、DFキーラン・トリッピアーがFKを直接決めて先制したものの、後半68分に同点ゴールを、さらには延長後半109分に勝ち越しゴールを許しての逆転負けである。

クロアチアとの準決勝、先制したのはイングランドだったが...クロアチアとの準決勝、先制したのはイングランドだったが... イングランドのガレス・サウスゲート監督が語る。

「我々は皆、敗戦の痛みを感じている。こんな結果になるなんて、誰も考えていなかった」

 しかし、客観的に試合内容と照らし合わせてみれば、結果は極めて妥当なものだった。

 試合開始早々に先制できたこともあり、イングランドは実質5バック+3ボランチで守備を固め、手堅く試合を進めた。攻撃はロングボール頼みだったが、うまくセカンドボールを拾えれば、FWラヒーム・スターリングやMFデレ・アリらのスピードが生きる。そんな大味な攻撃も、それなりに効果を発揮した。

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