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ベルギー無双とはならず。
豪華攻撃陣はやっぱり諸刃の剣だった (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 悪い流れは、60分にMFムサ・デンベレに代わり、FWドリース・メルテンスが投入されると決定的なものとなる。

 それまで、デンベレはセンターバックと連係し、相手FWのオリビエ・ジルーやアントワーヌ・グリーズマンを見張るだけでなく、中盤から飛び出してくるMFポール・ポグバの動きにも注意を払っていた。ボールポゼッションを高めて攻め続けるベルギーが、前がかりになり過ぎないよう歯止めをかけていたのが、背番号19のボランチだった。

 ところが、この交代でさらに秩序を失ったベルギーは、焦りを増幅させるばかりで攻撃が混乱。時間とともに攻撃の有効性が低下するだけでなく、ボールの失い方が悪くなる分、フランスのカウンターを受けることが多くなった。試合終盤には立て続けに決定機を作られており、追加点を奪われなかったのが不思議なほどだった。

「メンタル的にフランスのほうが我々よりも強かった」

 試合後、ベルギーのロベルト・マルティネス監督が残した言葉だが、そのひと言はベルギーの敗因を端的に指摘している。

 結局、試合はそのままフランスが1-0で逃げ切った。ベルギーは1986年メキシコ大会以来、2度目のベスト4進出だったが、またしても決勝進出はならなかった。

 全体がかみ合っているときは無双の強さを発揮する一方で、ひとたび歯車がズレると、それぞれの選手の個性が強すぎるあまり、まとまりを欠く。

 実際、一昨年のユーロ(準々決勝敗退)がそうだったように、ベルギーにとって世界でも指折りのアタッカー陣を数多くそろえることは、強力な武器であると同時に弱点でもあった。

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