「秘策」でブラジル粉砕。4強入りベルギーが見せた戦術の奥深さ (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 とはいえ、2点差は大きかった。

 ブラジルは何度か決定機をつくったものの、決まったシュートは、同じく途中交代のMFレナト・アウグストのヘディングシュート1本だけ。最後はDFを1枚増やし、5バック+3ボランチで徹底して守備を固めるベルギーの前に、1点が遠かった。

 数時間前にウルグアイがフランスに敗れ、南米の最後の砦となっていたブラジルも、あえなくヨーロッパ勢の前に陥落。ベスト4はヨーロッパ勢の独占が決まった。

 してやったりの勝利に、マルティネス監督の舌も滑らかだった。

「ブラジルのようなチームと対戦するときには、あの黄色のジャージを見るだけで、どうしても気おされてしまう。だから、我々は戦術的なアドバンテージを手にしなければならなかった。何かを変えるというのは大きなギャンブルだが、必要なのは、それを信じてやり遂げる選手だった」

 いきり立つブラジルメディアから、PKの判定(後半、ブラジルのFWガブリエル・ジェズスがドリブルでペナルティーエリア内に進入した際、ベルギーDFの足がかかったように見えたが、ノーファールとなった)について質問されても、「判定が正しかったかどうかはわからないが、それが勝敗を分けた要因ではない」とばっさり。

 そして、「選手たちには戦術的に難しい役割を与えたが、それを実行してくれたことはすばらしかった。選手たちを誇りに思う」と、何度も選手たちを称えた。

 それにしても、前半にベルギーが何度となく繰り出したカウンターは、対戦相手にとって極めて危険なものだった。天下のブラジルでさえも、そうそう止められないほどにキレがあり、力強くもあった。

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