ホームを失った流浪のクラブ、シャフタールの欧州CL8強入りなるか (3ページ目)

  • 井川洋一●文text by Igawa Yoichi
  • photo by Getty Images

 日本時間の3月14日早朝に行なわれる第2戦は、ローマの本拠地スタディオ・オリンピコで勝ち抜けをかけて戦う。

 第1戦のあと、シャフタールは国内リーグを無失点で3連勝。一方のローマは、直後のセリエAでACミランに敗れたものの、その後は首位ナポリを敵地で破り、直近のトリノ戦にも快勝した。第1戦はシャフタールが勝ったとはいえ、ローマはアウェーゴールをひとつ奪っているため、勝負の行方はまったくわからない。

 もしシャフタールが準々決勝に進めば、2010-11シーズン以来のベスト8となり、欧州におけるクラブ史上最高地点に到達する。奇しくも7年前に初めて8強入りを決めた時も、ラウンド16の相手はローマだった。

 その時は負傷離脱中のフェルナンジーニョこそ出場しなかったが、ウィリアン(現チェルシー)、ドウグラス・コスタ(現ユベントス)、ヘンリク・ムヒタリアン(現マンチェスター・ユナイテッド)らを擁したチームは、フランチェスコ・トッティがまだまだ健在だったローマに2連勝している。

 不思議な巡り合わせはもうひとつある。今季のCL決勝は、現在のシャフタールが仮の活動拠点を置くキエフで行なわれるのだ(会場はディナモ・キエフの本拠地NSKオリンピスキー。かつてはトロツキーの赤のスタジアムと呼ばれた)。

 さすがに、シャフタールがそこまでたどり着くのは"至難の業"かもしれない。しかし、ブラジルが生んだ気鋭のボランチが、ベルナール、タイゾン、マルロスといった同胞のアタッカーを巧みに操舵すれば、風穴は空くかもしれない。宝石と呼ばれた彼らのホームスタジアムに撃ち込まれた、砲弾が空けたような大きな穴が。

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