本家よりも「バルサらしい」分家・マンCこそ、CL優勝候補の筆頭だ (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki photo by Getty Images

 その3日前、スペインリーグで、バーゼル同様、守備的に対峙してきたヘタフェに0-0で引き分けてしまった本家のバルサとは、対照的な姿だった。なにより、見映えという点で、分家は本家を上回った。どちらのサッカーが美しかったか。言い換えれば、パスコースが多かったか。「バルサ的」だったかと言えば、断然マンCだ。

 布陣はラヒム・スターリング(左)とベルナルド・シウバ(右)の両ウイングが、大きくワイドに開く4-3-3。ボールを奪われにくい両サイドを有効に活用すれば、ボール支配率は自ずと上昇する。5人で構える相手の最終ラインを可能な限り開かせておいて、その上で真ん中を突こうとするバルサらしいサッカーだ。

 マンCに、見るからに器用そうな選手はそう多くいない。スペイン人選手は、この日交代で出場したダビド・シルバぐらいだ。パスワークの滑らかさという点ではバルサに劣る。しかし、それでも高いボール支配率を示す。これはパスコースが多いことの表れだ。抜群のテクニックがなくてもパスは回る。監督のこだわりと、その指導力を思わずにはいられない。

 マンCの今季通算の平均支配率が66.5%であるのに対し、バルサは61.2%。この5.3%の差には大きな意味がある。圧倒的か否か、"色"として成立しているか否かを分ける物差しになる。

 バルサの"色"を奪うことに成功したマンC。成績でもベスト8入りをほぼ手中に収めた。一方、らしさを失いつつあるバルサはチェルシーと対戦するが、接戦必至。そしてそれはレアル・マドリード対パリSGにも当てはまる。こちらもどちらが勝つか予想は難しい。

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