さらば、カカ。セレソンとミランで輝いた異色のお坊ちゃんスターが引退 (3ページ目)

  • 沢田啓明●文 text by Sawada Hiroaki photo by Getty Images

 ミランでは2003~04のセリエA制覇に貢献し、2006~07の欧州チャンピオンズリーグ(CL)優勝の立役者となり、2007年には世界年間最優秀選手に選ばれた。

 2009年1月、マンチェスター・シティから、1億ポンド(約130億円)という、当時としては世界歴代最高となる移籍金を提示されたが、これを拒否。残留を求めて自宅へ押し掛けたミラニスタたちに、バルコニーからミランのユニフォームを掲げてクラブへの忠誠を誓った。

 思えば、この頃が全盛期だった。2009年6月、レアル・マドリードへ移籍したが、恥骨の痛みなどによる体調不良もあって、ジョゼ・モウリーニョ監督の信頼を失った。とりわけ、2012年4月のCL準決勝バイエルン戦第2レグのPK戦でキックを失敗して以降、チームでの居場所がなくなった。

 2013年9月、古巣ミランへ復帰したが、すでに以前のような輝きはなかった。2015年、MLSのオーランド・シティへ移籍。3シーズン、中心選手としてプレーした後、今年10月に退団した。その後、サンパウロFCを含む複数のクラブからオファーを受けていたが、「熟慮の末、シューズを脱ぐことを決心した」(カカ)のである。

 今後については、「マネジャーや強化部門の責任者など、クラブとピッチをつなぐ仕事をしたい。これから、そのための勉強をする」と語っている。すでに古巣のサンパウロFCやミランから「ポストを用意するから、すぐにでも来てほしい」と声を掛けられているが、現時点で去就は決まっていない。

3 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る