警告のラッパは7度鳴る。イタリアに見る、W杯予選「地獄の黙示録」 (3ページ目)

  • 利根川晶子●文 text by Tonegawa Akiko photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

「イタリア崩壊、予選敗退はいったい誰のせいなのか?」

 こんなタイトルを掲げ、イタリアのマスコミは戦犯探しに余念がない。多くの人々は最大の戦犯に監督であるジャンピエロ・ヴェントゥーラの名前を挙げている。確かにヴェントゥーラは代表監督の器ではなかった。ビッグチームを率いた経験も国際経験も乏しく、古臭い戦術に固執する。選手起用の仕方も不可解で、代表監督の座に就いてからの彼はまさに"迷走"という言葉がぴったりだった。そんな監督に、最後まで選手たちも全幅の信頼を置くことができなかった。

 そんなヴェントゥーラを代表監督に据えたサッカー協会にも問題がある。彼らはヴェントゥーラの器量不足が露呈しても、監督をすげ替えることに躊躇していた。

 そして選手たち。前にも述べたが、彼らが一生懸命だったのは疑いようもない。でも、そこまでだった。サンシーロの試合でも彼らのプレーの精度は悪く、5メートル先のチームメイトにもパスを通すことができなかった。

 現在のアズーリの選手たちは、ここ十数年で最低の質であると現地の記者たちは言う。ロベルト・バッジョ、アレッサンドロ・デル・ピエロ、フランチェスコ・トッティの後に続くようなスター選手も存在しない。本物のカンピオーネたちもいることはいるが、すでにみんなサッカー選手としては年寄りの域に入ってきている。実際、今回の予選を最後にブッフォン、アンドレア・バルザーリ、ダニエレ・デ・ロッシなどが代表引退を表明している。

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