警告のラッパは7度鳴る。イタリアに見る、W杯予選「地獄の黙示録」

  • 利根川晶子●文 text by Tonegawa Akiko photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 アポカリプス――聖書の黙示録のいう「世界の終末」。スウェーデンとのプレーオフに敗れ、W杯出場を逃したイタリアでは、新聞の見出しにも、ネット、テレビでもこんな言葉が飛び交っている。

 この60年途絶えることなくW杯に出場し、4度も世界の頂点に立っているカルチョ王国にとっては、まさに世界が崩れ落ちんばかりのショッキングな出来事だった。試合後、ジャンルイジ・ブッフォンはカメラの前で男泣きしながら「社会全体の大きな破綻だ」と述べた。「親父どころか、爺ちゃんさえもイタリアが出場しないW杯を知らないっていうのに!」「いったい来年の夏をどうやって過ごしたらいいんだ!」と、SNSにも悲痛な叫びがあふれている。

スウェーデン戦後に男泣きし、代表引退を発表したブッフォンスウェーデン戦後に男泣きし、代表引退を発表したブッフォン いったい、どうしてイタリアは世界の終末を迎えてしまったのだろうか。

 今回のW杯予選、確かにイタリアの組み合わせはツイていなかった。同じグループにはスペインがいたし、プレーオフでは対戦相手の中で一番厄介なスウェーデン(その他はギリシャ、北アイルランド、アイルランド)を引き当ててしまった。

 しかし厄介な相手とはいえ、ここ2大会W杯出場を逃し、ズラタン・イブラヒモビッチもいなくなったスウェーデンを、イタリアはどこか侮っているところがあった。それがプレーオフ第1戦の、のちに致命傷となる失点につながってしまった。イタリアはこれでホームでの第2戦、2-0以上で勝利しなければならなくなってしまった。

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