シティ対ナポリ。CLの戦術バトルをマッチアナリストが超マニアックに分析 (3ページ目)

  • ステファノ・コルシーニ&マッシモ・サッカー●解説 analysis by Stefano Corsini & Massimo Saccà宮崎隆司●構成 text by Miyazaki Takashi

 より高い位置からプレスを仕掛けたいナポリだが、ただでさえ数的不利なうえ、シティのパスワークが極めて高精度なために、なかなか前に出ることができない。しかも、サッリ率いるナポリは、冒頭に記したように"徹底して主導権を握ろうとするスタイル"を絶対的な柱とするチーム。劣勢になった際に自陣に引いて相手のミスとカウンターを狙う、たとえばユベントスのような戦い方をオプションとして用意していないのだ。

【図2】サネからシルバにパスが出る瞬間【図2】サネからシルバにパスが出る瞬間 グアルディオラはそのナポリの性質を読み切っていた。前半15分の時点でポゼッション比率はシティが76%と圧倒し、その間にナポリは2失点を喫している。サッリが指揮を執るようになってから、これほど完膚なきまでにやられるナポリを見るのは初めてだった。

 とりわけ、シティの1点目に至る過程で犯した3つのミスは、サッリの緻密な戦術では起こり得ないはずだったという意味で特筆に値するのではないか。シティの圧倒的な強さを目の当たりにし、ナポリの選手たちが完全に混乱していたことを象徴している。

 その3つのミスを細かく見ていくと、第1のミスが起こったのは【図2】の前半7分56秒。シティのFWサネからMFシルバに縦パスが出る瞬間、ナポリのMFジエリニスキはシルバへのマークが完全に(約3m)遅れている。この遅れが、タッチライン際からマイナスのクロスを入れるシルバに対し、約1mのスペースを与える結果となった。

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