没落したオランダ代表とノキアの携帯。世界を席巻した後に落ちた地獄 (2ページ目)

  • 中田徹●取材・文 text by Nakata Toru
  • photo by AFLO

 話をオランダサッカーにフォーカスする。危機的状況なのは、代表チームだけではない。アヤックス、PSV、ユトレヒトがヨーロッパリーグ予選・プレーオフで敗れ、現在ヨーロッパの舞台に残っているのは、チャンピオンズリーグのフェイエノールトと、ヨーロッパリーグのフィテッセのみ。ちなみにこの2チームも、いまだ勝ち点ゼロだ。

 かつてオランダサッカー界には、「暗黒の80年代」と呼ばれた低迷期があった。1982年ワールドカップ、1984年ヨーロッパ選手権、1986年ワールドカップと3大会連続でビッグイベント出場を逃してしまった。

 しかし現在、オランダでは「80年代より今の状況のほうがひどい」と言われている。当時のオランダはルート・フリット、マルコ・ファン・バステン、フランク・ライカールト以外にも、ジェラルド・ファネンブルグやクーマン兄弟といった将来のスター候補たちが育っていたのだ。それが1988年に花開くと、PSVがチャンピオンズカップを獲得し、オランダ代表がユーロを制した。その30年前と比べると、今のオランダの中堅・若手選手たちはかなり心もとない。

 チャンピオンズリーグもヨーロッパリーグも勝てなくなった。国民的なスター選手もいない。それでも、オランダリーグのスタジアムはかなり埋まっている。フォルクスクラント紙の記事では、こうした状況についてガストン・スポーレ氏が「オランダにはすばらしいスタジアムがある。かなり多くの試合が満員になる。おかしなリーグだ」とコメントしていたほどだ。

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