2017.10.14

没落したオランダ代表とノキアの携帯。
世界を席巻した後に落ちた地獄

  • 中田徹●取材・文 text by Nakata Toru
  • photo by AFLO

 10月10日、つまりオランダvs.スウェーデンの試合があった日のフォルクスクラント紙には、「ノキアの3310とオランイェ(オランダ代表の愛称)の4-3-3を比較する」という記事が掲載された。「3310」とは、世界中で愛用された携帯電話の名機種のこと。「4-3-3」とは、オランダサッカーの代名詞とも呼べるフォーメーションだ。

W杯予選敗退後、ロッベンは代表引退を表明した「オランダサッカーの凋落とノキアの没落は、驚くほど似ている」。フォルクスクラント紙はそう主張するのである。

 2008年の第1四半期、携帯電話におけるノキア社の世界マーケットシェアは46.7%にも及んだのだという。それが2013年の第2四半期には3.2%まで落ち込んでしまった。一方、オランダ代表のFIFAランキングは2008年に3位だったのが、今年になって29位まで落ちてしまった。

 サッカー界にもビジネスの世界にも詳しい元ズヴォレ会長のガストン・スポーレ氏は、「ノキアの3210、3310、6610は、オランダサッカー界のフリット、ファン・バステン、ライカールトのようなものだ」と皮肉るようにコメントしている。

 オランダ、そしてノキアのあるフィンランドは、欧州のなかの小国だ。「ホーラント・スホール(オランダ派)」と命名されたオランダ独自の攻撃サッカーは、すでに相手チームにとっては対策の練りやすいオールドファッションなスタイルになってしまった。ノキアはi Phoneやアンドロイド勢の力を過小評価し、独自のOSにこだわって危機に陥った。

 小国のサッカー/通信端末会社が技術革新の潮流に負けてしまったのだ。