プレミア初昇格で3位。選手がファンと
一緒に食堂の行列に並ぶクラブ

  • サイモン・クーパー●文 text by Simon Kuper 森田浩之●訳 translation by Morita Hiroyuki

【サイモン・クーパーのフットボール・オンライン】ハダースフィールドの物語(1)

 イングランド北部のハダースフィールド。この平凡な町のフットボールクラブが昨シーズン、2部リーグに相当するチャンピオンシップ5位からプレミアリーグ初昇格を果たした。今季のプレミアでの滑り出しは絶好調。第3節を終えた時点で3位につけている。未知の世界での戦いに、クラブ関係者やファンは何を思っているのか。サイモン・クーパーの現地取材を3回シリーズでお届けする。

ドルトムント時代、ユルゲン・クロップに影響を受けたハダースフィールドのデイビッド・ワグナー監督 photo by Getty Imagesドルトムント時代、ユルゲン・クロップに影響を受けたハダースフィールドのデイビッド・ワグナー監督 photo by Getty Images ハダースフィールド・タウンFCのトレーニンググラウンド「PPGカナルサイド」。ここの食堂のビーフカレーは4.95ポンド(約700円)だ。

 ランチの列に並ぶ僕たちの後ろには、クラブのドイツ人ディフェンダーで、熱烈なファンがいるミヒャエル・ヘフェレの姿も見える。外の芝生にはお年寄りが集まって、雨が降り続けているのに、ローンボウリングを楽しんでいる。

 カナルサイドは以前、地元の化学工場で働く人たちの社交場だった。今では、男性労働者の社交クラブの中流版のような雰囲気になっている。

 メンバーはこのクラブを、プレミアリーグのハダースフィールド・タウンの選手たちと一緒に使っている。かつてはハダースフィールドのファンで、現在は会長を務めるディーン・ホイルは言う。

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