フランスが無慈悲にオランダを粉砕。
オレンジ軍団のW杯出場は窮地に

  • 中田徹●取材・文 text by Nakata Toru
  • photo by Getty Images

 8月31日に行なわれたワールドカップ欧州予選A組のフランスvs.オランダは、戦前にオランダのサッカー専門誌が「ダビデとゴリアテの戦い」にたとえていた。身長3メートル近い巨人兵士ゴリアテを、羊飼いの少年ダビデが勇敢に戦って倒してしまうという旧約聖書の話だ。

オランダはまだ33歳のロッベンに頼らざるを得ないのかオランダはまだ33歳のロッベンに頼らざるを得ないのか しかし現実は、寓話とは違って残酷なものだった。巨人ゴリアテ(フランス)は4-0というビッグスコアでダビデ(オランダ)をひと捻りで倒してしまった。

 テクニック、パワー、スピード、タクティクス(戦術)、メンタル、インテンシティ(プレー強度)、スタミナ......すべてにおいてフランスが優っていた。「カテゴリーが違う」と私はうなった。「1部リーグの強豪チームvs.2部リーグの下位チーム」「トップチームvs.U-17」。そのぐらい歴然とした差がフランスとオランダの間にはあった。

 フランスの先制ゴールは14分。オランダ陣内で右SBジブリル・シディベ(モナコ)がMFヴェスレイ・スナイデル(ニース)との競り合いに勝つと、パスを受けたFWアントワーヌ・グリーズマン(アトレティコ・マドリード)がFWオリヴィエ・ジルー(アーセナル)とのワンツーで抜け出し、最後は冷静にGKヤスパー・シレッセン(バルセロナ)の股を抜くシュートを決めた。

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