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17歳・大橋信、大会直前に39度発熱も世界新の裏側 指導者は「ちょっと普通の選手ではない」

  • 折山淑美●取材・文 text by Toshimi Oriyama

 アジア大会でメダルラッシュとなった競泳ニッポンの活躍を振り返る本企画、前編は男子200m平泳ぎで世界新記録という歴史的快挙を達成した17歳・大橋信(枚方SS/四條畷学園高)の衝撃に迫る。

男子200m平泳ぎで金メダルを獲得した大橋信(左)と太田伸コーチ(右)photo by Kyodo News男子200m平泳ぎで金メダルを獲得した大橋信(左)と太田伸コーチ(右)photo by Kyodo News

【「これで北島康介さんと同じ道を歩めそう」】

 アジア大会・競泳5日目、9月24日の男子200m平泳ぎ決勝、2分04秒83の世界新記録をたたき出し、100mとの2冠を達成した大橋信(枚方SS/四條畷学園高)は、レースをこう振り返った。

「本当にしんどかったのでバテたのかと思って......。(世界記録の2分05秒48には届かない)2分06秒00くらいかなと思ったけど、歓声を聞いたら結構デカかったので、『これは世界新にギリでいったな!』って思った感じですね」

 今大会、それまでの世界記録保持者である覃海洋(中国)との直接対決は実現しなかったが、大橋は覃が2023年に福岡で出した2分05秒48をターゲットにして泳ぎ、見事に0.65秒更新した。

「予選の2分09秒93から考えても、こんなに上がるとは思わなかったので、かなりうれしいですね。正直、自分の調子が最高の状態で、キックの調子もよければ、おそらく2分03秒台も狙えると思っていましたけど、予選のタイムから(考えて)世界新を狙えるか狙えないかくらいだなと思っていたので、かなり予想外でした。

 レース前は、自分を安心させるために2分05秒台が出せればいいと思っていましたけど、いざこの記録を出したら、そんな自分が本当にバカらしく思えてきて。これで北島康介さんと同じ道を歩めそうで、すごくうれしいです」

 今年3月の日本選手権で、日本記録に0秒19差まで迫る2分06秒59(世界ジュニア新)で優勝して以降、大橋は2分05秒台、さらには世界記録を視野に入れていた。オリンピックで2大会連続金メダルを獲得した北島康介の再来と期待する声も高まるなか、本人もそれを意識した。

 そんななか、初のシニア国際大会として臨んだ8月のパンパシフィック選手権(アメリカ)は、100mでは2位ながら58秒54で自身の日本記録を更新したものの、200mは後半に失速して2分08秒27で3位と悔しい結果に終わった。

 大橋はそこから気持ちを切り替えたという。

「パンパシで逆に2分07秒くらいで中途半端に優勝していたら、(アジア大会に向けて)200mに(もっと)専念するという気持ちも生まれなかったと思うので、やっぱりすべてがつながっているんだなと思います」

 指導する太田伸コーチもこう話す。

「そこから200m中心のトレーニングに変えましたが、いつもなら僕が出した練習メニューを嫌がるのに、今回は嫌がらなかった。自分からちゃんとやるということを考えていた。(パンパシの)タイム自体はそんなによくはなかったけど、トレーニングをしっかり積めると、ある程度のタイムは出るとわかっていたし、順調だったかなと思います」

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著者プロフィール

  • 折山淑美

    折山淑美 (おりやま・としみ)

    スポーツジャーナリスト。1953年、長野県生まれ。1992年のバルセロナ大会から五輪取材を始め、夏季・冬季ともに多数の大会をリポートしている。フィギュアスケート取材は1994年リレハンメル五輪からスタートし、2010年代はシニアデビュー後の羽生結弦の歩みを丹念に追う。

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