コンフェデ杯を勝った「ドイツ式5-4-1」の優位な点とダメな点 (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki photo by Getty Images

 ただし、この3-4-3(ドイツに言わせれば5-4-1)は、1トップにキープ力の高いポストプレーヤー系の選手が求められる。他の布陣に比べ、1トップとその他の選手との距離が離れているためだ。ザックジャパンの3-4-3がうまくいかなかった一番の理由はそこにある。岡崎慎司では難しい。現在なら大迫勇也。全盛期にはボールを預ければ数秒間は保持できた本田圭佑も適任だった。

 浦和などJリーグでよく見かけるのは3-4-2-1。2シャドー型だ。前線で構える3人の距離は近い。よって、相手のサイドバックの攻撃参加を阻止しにくい。サイドで後手を踏みやすく、5バック、すなわち守備的サッカーに陥りやすい。

 コンフェデ杯のドイツは、1軍半のメンバーで臨みながら決勝でチリを破り優勝した。来年に迫ったロシアW杯でも、ドイツを本命に推す声が高まりを見せている。だが、コンフェデ杯決勝で試合を終始コントロールしていたのはチリだった。シュート数(21対8)でも、支配率(61対39)でも、ドイツを大きく上回った。

 チリの善戦が光った試合。もう一度、対戦すれば、勝つのはチリではないか。ドイツは印象のいい終わり方をしたわけではなかった。しかし、1軍ではないので、内容は追及されにくい。1軍半のメンバーで優勝したという事実にインパクトがあるので、「ドイツ危うし」というムードにはならなかった。メディアも結果報道に徹した方が無難というわけか、チリに内容で劣ったという事実が強調されることはなかった。

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