CLでアトレティコにレアルの壁。反逆者シメオネ、4度目の正直なるか (3ページ目)

  • 井川洋一●文 text by Igawa Yoichi
  • photo by Getty Images

 レアルのジネディーヌ・ジダン監督は、独自の戦術がないとか、頼れるのはカリスマ性だけだとか、華麗だった選手時代と違って手堅いアプローチを取るとか、重箱の隅をつつくポゼッション原理主義者たちから批判されることもある。しかし、これだけの結果を残しているのだから、そうした意見もただの言いがかりに聞こえてしまう。

 確かに看板は前線のBBCだ。でも実際の生命線は中盤のルカ・モドリッチとトニ・クロースであり、この世界随一のセントラルMFコンビに全幅の信頼を置き、遅速自在の攻撃を繰り出すチームを築いたのは指揮官ジダンである。その後方にカゼミーロを置いてバランスを考慮し、両サイドバックは中盤の高いキープ力と守備力を後ろ盾に、自慢の攻撃性能を遺憾なく発揮。主将のセルヒオ・ラモスが世界で指折りのCBであることは、あえて説明するまでもないし、守護神ケイロル・ナバスはカリブの星だ。これといった死角のない王者レアルは、CLが現在の名称となってから初の連覇を視野に入れている。

 そうしたなかでアトレティコが希望を見出すなら、敵地で勝ち点1を手にした4月8日のリーガ31節か。この一戦でもほぼ主導権をレアルに握られていたが、終盤に一瞬の隙をついてアントワーヌ・グリーズマンが同点ゴールを記録。再三のピンチを迎えながら、数々のファインセーブで相手に1点しか与えなかったGKヤン・オブラクの活躍も特筆すべきものだった。CL準決勝の2試合でも、この26歳のエースストライカーと24歳の守護神の働きが、アトレティコのカギを握るだろう。

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