「夢はセレソン」。愛人殺害服役のGKが現役復帰でブラジルは大騒ぎ (2ページ目)

  • 沢田啓明●文 text by Sawada Hiroaki photo by Getty Images

 2009年には当時25歳ながら主将としてチームを牽引し、全国リーグ優勝の立役者となった。2010年初めにはACミランからオファーを受け、移籍目前だった。そのままキャリアを積んでいたら、いずれ代表入りしていたはずだ。2014年ワールドカップに出場していた可能性も大いにあった。

 ブルーノは複雑な家庭環境で育った。幼い頃に両親が育児を放棄し、祖母に育てられた。情緒不安定で、気に入らないことがあるとすぐ腕力に訴える。それは大人になってからも変わらずで、サポーターやチームメイトに暴力を振るったことが何度もある。19歳で結婚したが、女性関係は派手で、複数の愛人がいた。そして2010年2月、愛人の1人が男子を出産すると、彼に認知と養育費の支払いを求めたことに怒り狂った。

 2010年6月、この愛人が行方不明になる。警察は、愛人を誘拐して殺害した容疑でブルーノを逮捕。超名門クラブの有名選手が犯したとされる事件に、国中が大騒ぎになった。

 本人は殺人を否認し、「友人が勝手にやった」と主張したが、2013年3月、懲役22年3カ月の実刑判決を受けた。本人は控訴したものの、刑務所で服役していたが、今年2月、最高裁判所が「第二審の判決が出るまで仮釈放する」という判断を下し、自由の身となった。

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