バイエルンもタジタジ。無敗の29歳、ブンデス最年少監督は何者だ? (3ページ目)

  • 鈴木智貴●文 text by Suzuki Toshiki
  • photo by AFLO


 ナーゲルスマンの高度な雄弁術に導かれ、昨季まで負け癖がついていたチームは、今季「戦う集団」に姿を変えた。先述のズューレは『Sport1』のインタビューで、「ユリアンは真っ正直な人間だ。監督が誠実であれば、選手は誰を頼りにすればいいのか、はっきりと分かる。彼はどんな時もはっきりと包み隠さず話してくれるし、選手全員にきちんとした態度で接してくれる。中心選手だろうと、控え選手だろうと、そこに差異はまったくない。彼と一緒に全員がボートに乗り、彼はその全員を必要としている。僕たちは完璧なチームであり、ユリアンがいることは、ホッフェンハイムというクラブにとって幸運でしかない」と語っている。

 もちろん、クラブ首脳陣のバックアップがあったことも、今シーズン好調を保っている理由のひとつである。スポーツディレクターを務めるアレクサンダー・ローゼン氏が行なった今夏の補強策は、ほとんどすべてが、文字通り「強化」に直結している。

 加入からほどなくして、3バックの中央という重要なポジションを与えられたフォクトは、190cmを超す長身を活かし、1対1の守備に絶対の自信を持っている。しかも、アウクスブルクやケルン在籍時はボランチとしてプレーしていたため、ディフェンダーらしからぬダイナミックな展開力も持ち合わせており、ビルドアップに欠かせない存在ともなっている。

 そして、強靭なスタミナを持ちピッチ上を縦横無尽に走るルーカス・ルップ、相手のタイミングを外しながらボールをさばき、抜群の嗅覚でゴール前のスペースに顔を出すケレム・デミルバイ、昨季ダルムシュタットで14得点を決め、今季も4ゴール2アシストをマークしているサンドロ・ワーグナーなど、いずれもまるで新加入とは思えないほどナーゲルスマン・サッカーにフィットしている。

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