イブラヒモビッチ、ポグバ、バロテッリ...
移籍劇を操る大物代理人の実像 (7ページ目)
しかし90年代半ばの当時、ライオラはチェコ国内のネットワークをたどって、ゼーマンにとっての完璧な選手を見つけ出した。同じチェコ人であるパベル・ネドベドだ。
ライオラは言う。「パベル・ネドベドは限度を知らない人間だ。彼が自分について考えていることはひとつだけ、自分にはフットボールができないということだ。しかし、周りの誰よりもトレーニングに打ち込める」
ネドベドにとってクラブでの練習は、食前酒のようなものだった。終わったら家に帰り、庭ではるかに激しいトレーニングをした。1996年、ライオラはネドベドを、ゼーマンが新たに率いていたラツィオに売った。
ふたりのチェコ人は、ライオラが父親から学んだ教訓が正しかったことを証明した。限度を知らない人間は成功する──。ライオラ自身も限度を考えなくなった。彼はもう20年以上、小さなスーツケースを抱えてヨーロッパ中を巡り、仕事をしている。
「犠牲にしたものもあった」と、彼は言う。「子どもたちが成長する姿を見ていない」。ライオラと家族は、いまモナコに住んでいる。税金対策は理由のひとつでしかないと、彼は言う。
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