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リーガ序盤で失速も「心折れない」
アトレティコと「沈没」バレンシア (3ページ目)

  • 山本孔一●文 text by Yamamoto Koichi photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 問題はバレンシアだ。

 ラス・パルマス、エイバルに2連敗。今夏、過去にカタルーニャ人の悪口をツイートしていたことで知られる生え抜きのパコ・アルカセルがバルセロナに移籍したのをはじめ、アンドレ・ゴメス、フェグーリ、ハビ・フエゴ、ムスタフィら昨季の主力を含む多くの選手が、まるで沈みゆく船から逃げるネズミのようにバレンシアを去った。

 2014年、シンガポール人実業家ピーター・リムがオーナーとなり、経済危機にあったチームは救われた。強いバレンシアが復活すると誰もが信じていた。実際、昨季は8960万ユーロ(約120億円)が補強費として捻出された。だが、チャンピオンズリーグどころかヨーロッパリーグの出場も逃した今季、ピーター・リムのバレンシアに対する興味は消えてしまったかのように感じられる。

 もちろん、欧州大会を逃したことで、クラブの予算縮小やファイナンス・フェアプレーに対応しなければいけないことは確かだ。だが今季獲得してきた、ナニ、ダニ、エセキエル・ガライ、エリアカン・マンガラといった選手たちは、リムの友人であるホルヘ・メンデスが代理人を務めており、放出した選手の多くもホルヘ・メンデスが抱えている。今夏のバレンシアは、リムとメンデスがお金を生み出すためのツールであることをあたかもアピールしたようなものだ。

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