「ディーゼル車のような本田圭佑」が控えでもミランに残留した理由 (3ページ目)

  • パオロ・フォルコリン●文 text by Paolo Forcolin 利根川 晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

 おまけにミランはこの夏、オーナーがベルルスコーニから中国人に変わるなど、混乱続きだった。はっきり言ってチームには本田の去就問題を本気で考えるほどの余裕もなかった。まあ、それは本田に限った話ではないかもしれないが......。

 本田のマーケティング効果は相変わらずとても高い。新中国人オーナーたちにとって、本田のアジア市場での価値は魅力的だ。今後はこれまで以上に本田を利用していくだろう。ただし、ドリブルやシュートで試合に勝利するために使うのではなく、グッズを売るために。そのためには彼が毎試合プレーせずとも、ベンチにいるだけで十分だ。悲しいことだが、現実的でもある。

 2017年の6月、本田は移籍金0で自由に移籍できるようになる。その最後の日まで、本田が裏表なく懸命に練習を続けることは間違いないだろう。しかし同時に常に辺りを見回していくことが重要だ。彼はレジェンド的選手ではないが、これまでそれなりの経験を積んできた。チャンスをつかめば彼の才能を高く買ってくれるチームが現れないとも限らない。リッチな中東のチームとか、もしくはサッカーの新天地アメリカのチームとか......。

 しばらく様子を見て、彼は自分の未来を決めるだろう。どこか運命論者的なところがあり、哲学者的なところのある本田は、今、運命の川岸に佇んで、自分の時がくるのを待っているのかもしれない。

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