「ディーゼル車のような本田圭佑」が控えでもミランに残留した理由

  • パオロ・フォルコリン●文 text by Paolo Forcolin 利根川 晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

今季、ミランではまだ出場機会がない本田圭佑(photo by Fujita Masato)今季、ミランではまだ出場機会がない本田圭佑(photo by Fujita Masato) それにしても、本田圭佑がプレーしているゲームとは、なんなのだろうか? 

 もちろん彼がサッカーをプレーしているのは知っているが、彼の振る舞いを見ていると、それ以外の別なゲームもプレーしているのではないかと疑いたくなる。例えば、わざと自分を窮地に追いやってみたり、限界まで我慢をしてみたりといったゲームを......。

 本田はミランの完璧な中心選手となったこと、つまり不動のレギュラーとなったことはこれまで一度もない。ただしクラレンス・セードルフからクリスティアン・ブロッキまで、すべての監督のもとで、それなりの地位を確立はしてきた。

 ところが今回ばかりはどうやら勝手が違いそうだ。ヴィンチェンツォ・モンテッラも前任者たち同様、本田を評価し、リスペクトもしている。ただ、彼は本田を見てはいない。構想の外にある。本田はモンテッラのサッカーに向いたタイプの選手ではないのだ。本田はたとえていうならディーゼル車だ。調子が出るまでに時間がかかるし、スピードも出ない。ただし目的地には必ずたどり着く。

 しかし、モンテッラが愛するのはスポーツカーだ。スプリントがきいていて、ちょっとクレイジー。例えばスソのように、ハットトリックを決めたと思うと、そのあとはさっさと消えてしまうような選手だ。もしくはマティ・フェルナンデス。モンテッラがどうしてもほしくて、メルカートの閉まる最後の最後にミランが強引に介入し、カリアリから横取りした選手だ。余談だが、この獲得劇は今後に禍根を残すかもしれない。

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