大ケガから驚異の回復。MLS工藤壮人が語る「妻の献身リハビリ」 (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by AP/AFLO

 工藤は心情を明かした。焦りがないはずはない。彼はプロフェッショナルとして生きているのだ。練習帯同後、3~4日後には、「全体練習でボールを 蹴りたい」という欲求が湧いていたという。「肘があごに入ったらどうするんだ?」と危惧する声も根強かったが、プレーしたい気持ちが前のめった。同時にマ ウスガードを装着、ケガの予防と早期復帰にも万全を尽くしていた。

 大きな試練を受けた工藤だが、MLS選択を後悔していない。求めていた 高いレベルの戦いに、その身を浸しているからだろう。屈強な選手との間合いやタイミングよく入ってくるクロス。ニューヨーク・シティ戦はベンチだったこと で、同じFWのダビド・ビジャのプレーに夢中になった。"ファーストタッチでそこにボールを置くのか"と少しでも感覚を盗み取ろうとした。

 そうした刺激こそ、彼が追い求めていたものと言える。

 そして、事故から約2カ月が経った7月13日、レアル・ソルトレイク戦でピッチに戻っている。先発としてプレーし、2-0の勝利に貢献した。予定の半分ほどの期間で実現した復帰戦だった。

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