C・ロナウド、ペペ...。「ブレンド型」選手がポルトガルを強くした (3ページ目)

  • サイモン・クーパー●文 text by Simon Kuper
  • 森田浩之●訳 translation by Morita Hiroyuki

 ヨーロッパのなかではラテンアメリカに最も近いポルトガルのマデイラ島に生まれたC・ロナウドも、ラテンアメリカとヨーロッパの「ブレンド型」 だ。ルイス・フィーゴと同じく、彼はラテンアメリカ型のドリブラーであると同時に、ヨーロッパ型の力で押すフォワードでもある。他のヨーロッパ諸国からは 出てこないタイプの選手だ。

 ポルトガルがユーロ2016を制したのは、現在の代表がすばらしいためではない。今回のトロフィーは、過去の 偉大な代表チームへの褒賞なのだ。C・ロナウドにも同じようなことがいえる。彼はもう昔の彼ではない。だが今までのキャリアを考えれば、ポルトガルととも に賞を受けていい。映画のアカデミー賞で、キャリアを通しての業績に与えられる名誉賞のようなものだ。

 スポルティングCP(スポルティン グ・リスボン)時代にロナウドを見出したルーマニア人監督ラースロー・ベレニは今回の決勝の前に、もしポルトガルが勝ったら、C・ロナウドはポルトガルの フットボール史でエウゼビオやフィーゴをしのぐ存在になると語った。そのとおりになった。来年1月、C・ロナウドは4度目の(そしておそらく最後 の)FIFAバロンドールに輝くはずだ。人口わずか1000万の小国が、今の時代を最も代表する選手と監督とエージェントを生んでいる。

3 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る