ベイルが見せたウェールズ魂。レアルとは違う「友と一緒に戦う喜び」 (4ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki photo by Nakashima Daisuke

 何より今大会のベイルは、勝った後の表情が無邪気で、心底うれしそうだった。昔からよく知る仲間たちと一緒に戦えることが、そして彼らと歓喜を分かち合えることが、楽しくて仕方がない。そんなふうに見えた。

  また、チームメイトの側にも(結果的にベイルに頼ることはあっても)気後れしたり、気を遣ったりする様子はなかった。彼らもまた、今では世界的スターに大 出世した旧友と一緒に戦えることを喜んでいるかのようだった。だからこそ、ベイルに引っ張られるように、ウェールズは一戦一戦強くなっていったのだろう。

 ウェールズの挑戦の旅は、これでひとまず幕を閉じた。

  だが、ほどなくすると2018年ワールドカップの予選がスタートする。ユーロでベスト4進出を果たしたウェールズも、ここを勝ち抜かなければロシアへはた どり着けない。ヨーロッパのレベルは高く、ウェールズが予選突破するのは決して簡単ではないだろうが、今大会で貴重な経験を積んだチームには、58年ぶり の出場へ大きなチャンスである。

 ウェールズが再び歴史を塗り替えるための、新たな挑戦の旅はまもなくスタートする。

 ベイル率いる黄金世代の集大成を、2年後のロシアで見たいものである。

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