ベイルが見せたウェールズ魂。レアルとは違う「友と一緒に戦う喜び」

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki photo by Nakashima Daisuke

「ミラクル・ウェールズ」の挑戦の旅が、ようやく終わりを告げた。

 ユーロは初出場。ワールドカップを含めても、58年ぶりとなるメジャートーナメント出場。それを考えれば、ウェールズがユーロ2016に出場したこと自体、そもそも歴史的快挙だった。

ガレス・ベイル(写真中央)ら、黄金世代を中心にチーム一丸となって戦ったウェールズガレス・ベイル(写真中央)ら、黄金世代を中心にチーム一丸となって戦ったウェールズ しかも、望外のベスト4進出。決して高いとは言えなかった下馬評を覆し、ウェールズはあれよあれよという間に勝ち上がった。
 
そして、チームは一戦一戦勝ち上がるごとに、逞(たくま)しさを増していった。今大会初戦(スロバキア戦)のころとは比べものにならないくらい、ウェールズは強くなった。

  象徴的なのが、FWハル・ロブソン=カヌだ。最初のスロバキア戦で途中出場ながら決勝ゴールを決めたものの、プレーにはそれほど余裕がなかった。今大会初 先発となったイングランド戦でも、ほとんど仕事をさせてもらえず、最前線でチームの攻撃を引っ張る存在にはなれていなかった。

 ところが、準々決勝のベルギー戦ではペナルティエリア内での華麗な足技でDFふたりをかわし、鮮やかに決勝ゴール。準決勝のポルトガル戦でも、ときに相手に体を当てながらボールをキープし、ときに素早いターンで相手をかわし、チャンスを作り出した。

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