豪華アタッカー陣で3-0快勝も、ベルギーを優勝候補に推せない理由 (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki photo by Getty Images

 マルク・ヴィルモッツ監督は、この試合の戦略として「ショートパスを使った地上戦」を採ったと語っていたが、基本的なベルギーのサッカーは、スペインやドイツのようなポゼッションとは異なる。

 ロングボールこそ多用しないが、相手を敵陣に押し込んでから、じっくりとパスをつないで崩しのタイミングを計るような悠長なこともしない。「複数でのコンビネーション」よりも「個人の仕掛け」。早いタイミングでボールをサイドに展開し、2列目の個人能力で打開していく。

 ヨーロッパで今をときめく若いタレントが仕掛ける攻撃は、なるほど破壊力がある。

 しかし、裏を返すと、攻撃の打開策は多彩とは言えず、守りを固める相手にはあっさりと手詰まりになってしまう。実際、アイルランド戦でも中央を固められ、ペナルティエリアはおろか、バイタルエリアにさえも入らせてもらえない状況に手を焼いた。判で押したようにサイドから速いクロスを入れるくらいしか、打つ手がなかった。

 試合序盤こそ迫力のあったベルギーの攻撃も、前半の終わりごろになるとアイルランドが慣れ始め、余裕を持って対応できるばかりか、そこから攻撃につなげられるようにもなっていた。

 それだけに後半開始から3分で、しかもカウンターから先制ゴールを奪えたのは大きかった。アイルランドがもう少し0-0のまま粘れれば、どんな展開になったかは分からない。

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