安定感欠く世界王者ドイツ。リーダー不在が影響か (3ページ目)

  • 山口裕平●文 text by Yamaguchi Yuhei photo by Getty Images

 この2試合自体はあくまでもメンバーやシステムを試すためのテストマッチであり、結果そのものは大きな意味を持たない。注力すべきはこの2試合で見えた課題とその改善だろう。

 レーヴ監督はイタリア戦後、「イングランド戦では集中力と規律を失ってしまった。イタリア戦では改善されたが、我々が取り組まなければならないのはそこだ」と述べている。これこそがW杯後のドイツが抱えている問題だ。個人の能力も組織力も高いドイツだが、この2年間、試合中に突如として集中力と規律を失い、自ら崩れていくことが何度もあった。

 イングランド戦では2点をリードして試合を優位に進めながら、終盤にゲームをコントロールできなくなり、相手の勢いに押される形で3点を奪われ逆転負けを喫した。問題は不用意にボールを失い続けたチームの戦い方にもあるが、浮き彫りになったのは流れが悪い時にチームを導くリーダーの不在だった。

 今やテクニカルな印象の強いドイツ代表だが、数年前まではオリバー・カーンやミヒャエル・バラックといった闘将がチームに集中力と規律を与えていた。ブラジルW杯ではラームが冷静なタイプの主将としてキャプテンマークを巻いたが、チームにはミロスラフ・クローゼやペア・メルテザッカーというベテランがいた。しかし、彼らはすでに代表を引退している。

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