優勝候補の宿命。岡崎慎司を苦しめる下位チームの「レスター対策」

  • 田嶋コウスケ●取材・文 text by Tajima Kosuke  photo by AFLO

「最終ラインの裏に出る動きが、なかなかできなかった。対策を練られてしまうと、今日のような展開になるのかと感じました」

「やっぱり、レスターはこういう試合運びに慣れてない感じがしました」

 試合後、レスター・シティ岡崎慎司は淡々とつぶやいた。

ノリッジの固い守備に苦しめられた岡崎慎司ノリッジの固い守備に苦しめられた岡崎慎司 終了直前まで0-0で推移していたノリッジ・シティとの一戦は、89分、FWレオナルド・ウジョアの決勝弾によってレスターが1-0で辛勝した。「今日は引き分けでもキツかったし、勝ったのはデカいですね」と、岡崎が安堵の表情を浮かべたように、前節のアーセナル戦で黒星を喫したレスターには、風向きを変える価値ある1勝になった。

 しかし、試合を振り返ると、手放しで喜べるパフォーマンスではなかった。「ボールを失うと、ノリッジは自陣深くに5人の選手を並べた。ノリッジの戦術により、レスターは引き分けで終わりそうだった」と評したのは、イギリス公共放送の『BBC』である。得意のカウンターアタックは影を潜め、レスターの代名詞である「速さと力強さ」が共存する攻撃が抑えられていたのだ。

 その理由は、ノリッジが用いた「レスター対策」にほかならない。17位の降格圏付近に沈むノリッジが採用した戦術の有効性は、イギリスメディアも試合前から指摘していた。たとえば、元イングランド代表MFの解説者、ダニー・マーフィーも次のように話している。

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