不可解な言動の数々。解任されたモウリーニョの落ち度 (4ページ目)

  • 田嶋コウスケ●取材・文 text by Tajima Kosuke  photo by AFLO

 モウリーニョ1次政権におけるチェルシーの強さは、強固な団結力や結束力にあった。モウリーニョの性格から考えれば、これまでも選手との軋轢(あつれき)が存在していたのは間違いないように思うが、それでも一枚岩になって乗り越えていった。

 しかし、1次政権を知る者が減り、FWジエゴ・コスタやMFエデン・アザールといった外国人選手たちが代わりにレギュラーに抜擢されると、次第にもろさやまとまりのなさといった「負の側面」が目立つようになった。その点で言えば、サブメンバーとして昨季の成功を支えたドログバとチェフは、仲介役としても貴重な存在だったのではなかろうか。

 解任が告げられた12月17日、モウリーニョは選手たちの前でスピーチを行なっている。2007年の1次政権の終焉時も、ポルトガル人指揮官は選手たちを前に演説しているが、感情を抑えきれないドログバは大粒の涙を流したという。しかし、今回のスピーチではそのような感傷的な光景はなく、選手たちは冷静に指揮官の言葉を聞いていたとされる。

 おそらく、「選手の造反」もあったのだろう。だが、先に火をつけなければ、対立感情も生まれない。「フロント主導の補強策」や「開幕前の調整不足」など不振の原因はいくつもあるが、選手たちの心を掴み切れなかったマネージメントこそが、モウリーニョを失脚に追い込んだ最大の理由ではないだろうか。


海外サッカー記事一覧>

4 / 4

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る