フィンランドで優勝争いを牽引。田中亜土夢、野望を語る (6ページ目)

  • 栗原正夫●文 text by Kurihara Masao photo by Getty Images

 A代表キャップこそないものの、そこで活躍することが日本代表につながるとの想いも忘れたわけではない。

「代表に入ってW杯に出るというのは、サッカー選手の夢ですよね。僕もU-20W杯を経験しているだけに、A代表でやりたい気持ちは持っていますよ」

 端正なマスクに少しシャイな性格は、一見すると海外で成功するタイプのスポーツ選手らしくないように見えるかもしれない。プレースタイルにしても、スピードや高さといったわかりやすい武器があるわけではない。だが、田中は黙々とプレーすることで結果を出し、確かな地位を築いてきた。

「いま思うと、もう少し若いうちに欧州に来ていたらという気持ちになりますね」

 退路を断って欧州に渡った元新潟の10番に、いまのところJリーグに戻る意思はない。ヘルシンキにとどまるにせよ移籍にするにせよ、彼の挑戦にはまだまだ続きがありそうな気配である。

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