岡崎慎司が自ら見つけた「セカンド・ストライカー」という居場所
雨と曇りの多いイギリスでは珍しく、この日は強い日差しがピッチを照りつけていた。キックオフ時の気温は29度。湿度が高いうえ無風で、暑さに慣れないイギリス人にとっては真夏日のような天気だった。
レスターで早くもポジションを確立しつつある岡崎慎司 レスターの本拠地、キング・パワー・スタジアムも熱気に包まれていた。開幕前は降格危機もささやかれていたチームが、18年ぶりとなる開幕2連勝。これまでクラウディオ・ラニエリ監督の手腕に懐疑的だったサポーターの見方も一変し、前節のウェストハム戦では指揮官を称えるチャントが聞こえてきた。
チームの原動力となっているのは、新加入の岡崎慎司を中心とした積極的なプレッシング、そしてボールを奪ってから素早く転じるカウンターである。上昇気流――。今のレスターをひと言で要約するなら、そんな言葉で表現できるだろう。
第3節で彼らがホームに迎えたのは、欧州リーグ常連の強豪トッテナム・ホットスパー。イングランド代表FWのハリー・ケインや、ベルギー代表DFのヤン・フェルトンゲンら代表クラスを擁し、過去2戦で相まみえたサンダーランドやウェストハムとは格がひとつ上である。そのトッテナムに対し、レスターはこれまでとは違う慎重な戦い方を見せた。
イタリア人指揮官のラニエリ監督が採用したのは、過去2戦と同じ4-4-2。だが、前線から敵を追いかけるプレッシングは限定的で、ある程度自陣に引いて守備を固めた。2トップの一角に入った岡崎も、前線でコンビを組むイングランド代表FWのジェイミー・バーディーとフラットに並び、敵にスペースを与えないよう努めた。戦術について、岡崎は手振りを交えながらこう説明する。
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