ユーロ予選で見えてきた「2015年ヨーロッパ新勢力図」 (5ページ目)

  • 中山淳●文 text by Nakayama Atsushi  photo by AFLO

 最大の問題は、国内経済が急成長したことにより、各クラブの懐(ふところ)も温かくなったことが凶と出たことだ。選手の報酬と移籍金上昇がネックとなり、かつてのように選手が国外クラブでプレーする機会が失われ、現在はビジャレアルでプレーするMFデニス・チェリシェフ以外、国内組でメンバーを編成するというガラパゴス化が起こっている。

 FWアンドレイ・アルシャヴィン(ゼニト)、FWロマン・パヴリュチェンコ(ロコモティフ・モスクワ)といったタレントを中心に、ユーロ2008で3位に輝いた時代はもう過去の思い出話。グループリーグ敗退に終わったブラジル・ワールドカップ時よりも、明らかにレベルは低下している。

 さらに、2012年から2018年までの長期契約を結ぶ名将ファビオ・カペッロ監督にしても、現在は成績不振で解任される可能性も囁(ささや)かれ始めている。一時は給料未払い問題で自ら契約解除を求めるのではないかというウワサもあったことを考えると、その進退はますます不透明。最近はロシア経済も急激に冷え込んでいるだけに、混迷はしばらく続きそうだ。

 一方、これら不振に悩む3カ国に対し、現在ヨーロッパで大きな話題を集めている新興勢力の筆頭が、ウェールズである。

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