ユーロ予選で見えてきた「2015年ヨーロッパ新勢力図」 (4ページ目)

  • 中山淳●文 text by Nakayama Atsushi  photo by AFLO

 かつては、ユベントスとミランという名門のタレントを軸にすれば代表チームの骨格が出来上がるという状況にあったが、現在はトリノ、ジェノア、サッスオーロなど、国内の中堅またはスモールクラブの選手も招集しなければ代表が成立しないという苦しい台所事情がある。それほど、国内にはタレントが不足しているのだ。

 また、改革に本腰を入れようと躍起になるコンテは、代表合宿をしたくとも各クラブの反対にあって実現できず、さらに自身が八百長スキャンダルの捜査対象として裁判所に召喚される可能性もあるため、最悪のケースとして指揮官が辞任してユーロ予選も敗退というシナリオも見え隠れする。要するに、目の前には茨(いばら)の道が待ち構えているのだ。

 そして、グループGの3位に低迷する2018年のワールドカップ開催国・ロシアは、さらに危機的な状況だ。ここまでの成績は2勝2分け2敗。その2勝の内訳も、弱小リヒテンシュタイン戦と、サポーターの暴動による没収試合で戦わずして3ポイントを手にしたモンテネグロ戦という格好。つまり、6試合を戦って実質的にまだ1勝しかしていないのだ。同グループの首位がオーストリア、2位がスウェーデンという現状からすれば、早くも予選突破に暗雲が立ち込めていると見るのが妥当だろう。

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