ユーロ予選で見えてきた「2015年ヨーロッパ新勢力図」 (3ページ目)

  • 中山淳●文 text by Nakayama Atsushi  photo by AFLO

 したがって今回のユーロ予選の不振は、ある意味で必然と言える要素がある。しかも、指導者として一度は引退を宣言していたヒディンクに世代交代を託したというのも、モチベーション的に「負の連鎖」を引き起こす要因にもなったと見ていいだろう。

 不振が続く現在、すでにヒディンクは身を引く決意を固め、予定より早くブリントにバトンタッチするという見方が強まっている。仮にそのシナリオが実現するとなると、それはオランダにとって大きな博打(ばくち)となることは間違いない。現状から言えば、まだ予選突破の可能性は十分にあるだけに、オランダ協会の決断に注目が集まる。

 同じように、タレント不足に悩まされているのがイタリアだ。ブラジル・ワールドカップでもグループリーグ敗退という屈辱を味わったばかりだが、ユーロ予選でもグループHの2位に甘んじ、クロアチアに首位の座を譲っている。

 大会後に就任したアントニオ・コンテ監督も必死にチーム再建に取り組んでいるが、チーム作りは難航している。とりわけ、MFアンドレア・ピルロ(ユベントス)とGKジャンルイジ・ブッフォン(ユベントス)という2大ベテランの力に頼らざるを得ないというのが現状で、その他のメンバーにまだワールドクラスと言える駒は育っていない。

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